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うつ病:医師が診断書を書いてくれないケース(全国対応の実績)

2018/05/26 うつ病

 うつ病で障害厚生年金2級(遡及請求)が支給決定した遠方の方の実績です。
1.病歴
その方(女性)は、15年程前、小さな会社に勤務する責任感の強い方でした。
仕事中に突然涙が出たり、他人が自分に話しかけているのに、遠くで別人に話しているように感じるようになり、心療内科を受診し、休職を指示されましたが、社内に自分の代わりをする人がいないため、無理して仕事を続けたのがよくありませんでした。
そのため、ホームで電車に飛び込みたくなったり、朝起きれなくなり、重度うつ病と診断され、会社は退職となりました。
その後、軽快、悪化を繰り返し、自殺未遂も何度かありました。
離婚し、何の楽しみも無くなり、買い物依存となり、借金を抱えてしまいました。
2.無料相談~受任~障害厚生年金2級支給決定まで
障害年金に該当するかどうか無料相談をしたいとのことで、遠方よりお電話いただきました。
声が震えており、かなり重いうつ病であることは明らかでしたので、障害厚生年金2級は間違いないと考え、裁定請求のお手伝いをすることにしました。
初診日から1年半後の障害認定日の診断書、現在の診断書をそれぞれの病院で作成いただき、うつ病で障害厚生年金の裁定請求を行い、後日障害厚生年金2級(遡及)が認められました。
障害厚生年金2級の5年分の年金(相当の金額)が最初に振り込まれ、借金も完済し、貯金も残り、大変喜ばれました。
3.診断書作成を断られる
初診から1年半後、通院していた病院に問い合わせたところ、カルテは残っているが、当時の担当医師はその病院にいないため、診断書を書けない、今は別のところにいらっしゃる担当医師に書いてもらってくれと無茶を言われました。
その医師の所在はわかったものの、重いご病気で、とても診断書を書ける体力はありません。
そのことをお話しし、当時の日常生活能力を詳しくヒアリングした情報を提供し、何とか診断書を書いていただけることになりました。
妥当な診断書を書いていただけるか、正直不安がありましたが、しっかりと当時の実態を表した診断書ができあがってきましたので、助かりました。
それで遡及請求できたので、本当に九死に一生を得た思いです。
今回のように、医師が診断書を書かないと言われることがときどきあります。
(どうしてもだめな場合もありますが、)諦める前に我々社会保険労務士に無料相談していただきたいと思います。

てんかん・器質性精神障害・同名半盲:てんかんの診断書の難しさ(全国対応の実績)

 てんかん・器質性精神障害・同名半盲で障害厚生年金2級(額改定請求)が決定した遠方の方の実績です。
1.病歴
その方(男性)は技術的に高度な知識を要する優秀な営業マンでしたが、脳出血で倒れ、てんかん・器質性精神障害(高次脳機能障害)・同名半盲を発症、次のような症状が現れました。
・てんかん発作がいつ起きるかわからないため、一人で外出できない。
・器質性精神障害のため、複数の方と会話ができない、物事の順番の整理ができない。
・同名半盲のため、右側半分の視野が欠けている。
2年程前に、自ら障害年金裁定請求をしましたが、3級と認定されました。
2.無料相談~受任~障害厚生年金2級額改定決定まで
ひとつでも3級に相当すると思われる障害が3つあるにもかかわらず、3級とは納得できないと考え、障害年金に詳しい専門家に無料相談をしたいとのことで、遠方よりお電話いただきました。
まず、以前の裁定請求書類コピー一式を見せていただきました。
てんかん治療病院と器質性精神障害治療病院が異なり、診断書はてんかん、器質性精神障害、同名半盲の3枚あり、多くの問題があることがわかりましたが、それらの問題をクリアすれば、2級は可能と考え、額改定請求のお手伝いをすることにしました。
なぜ、3級と認定されたのか、詳しく探る必要があるため、厚生労働省に認定表の開示請求を行いました。
取り寄せた認定表から次の事が判明しました。
まず、同名半盲は障害手当金相当9号とされ、次に、精神(てんかん・器質性精神障害)は3級7号とされました。
9号と7号の併合により、7号→3級(変わらず)とされました。
てんかん・器質性精神障害が併せて3級というのはありえないと考え、それぞれの診断書の問題点を洗い出し、各医師には診断書作成時にいろいろな対応をお願いしました。
3つの診断書ができあがり、額改定請求の手続きを行い、後日無事障害厚生年金2級が認められました。
配偶者、子の加算もあり、年金額は3倍以上となりました。
小さいお子さん方がいらっしゃって、経済的にご苦労されており、大変感謝されました。
3.てんかんの障害年金請求の難しさ
前回の裁定請求書一式を拝見すると、いろいろな問題点がありました。
1)てんかん治療病院と器質性精神障害治療病院が異なり、それぞれの診断書に日常生活の判定・程度の記入がされていた。
てんかんのみ、器質性精神障害のみを見て、日常生活の判定・程度を評価するというのは難しいと考えられる。
また、日本年金機構がその二者の日常生活の判定・程度を併せて総合的に正確に評価するのはさらに難しいと考えられる。(おそらく不可能)
2)てんかんのみ、器質性精神障害のみを見て、日常生活の判定・程度を評価したと考えても、実態より軽く書かれていた。
特に、てんかんの診断書の日常生活の判定・程度は今回の方に限らず、一般に軽く記載される傾向がある。
(てんかん発作時<<以外>>の日常生活の判定・程度を記載されることが多く、「てんかん」という病気の診断書で、てんかん発作時を除いて日常生活能力を評価することに大きな疑問を感じる。)
3)てんかんの診断書はてんかん発作のタイプ、頻度の記載が重要であり、その記載はあったものの、具体的な発生日までは記載が無く、説得力に欠けていた。
1)に関しては、てんかんの診断書には、日常生活の判定・程度の記載はしないでいただきました。
器質性精神障害治療の医師に、てんかん、器質性精神障害両者を含めた日常生活の不便さの情報を提供し、日常生活の判定・程度を総合的に評価していただき、その旨明記していただきました。
2)に関しては、実態にあっていない項目は、医師に根拠を示し、修正を依頼し、ある程度応じていただけました。
3)に関しては、あらかじめご本人に最近1年間の発作時期を洗い出していただき、全発作時期をてんかんの診断書に記載いただき、日本年金機構に対して強くアピールしました。
てんかんの障害年金請求は簡単ではありません。
この方の最初の裁定請求のように、医師に診断書を作成依頼し、できあがった診断書をそのまま提出して、妥当な等級が認められることは少ないと思います。
てんかんに関しては、是非障害年金を専門とする社会保険労務士に無料相談していただきたいと思います。
4.精神の障害に係る等級判定のガイドライン
その方は私のホームページのブログを読んでくださっており、「私の事例をブログに掲載いただき、他の障害者の方々の救済にお役立てください」と仰っていただき、感激しました。
上記のように、てんかんの日常生活能力は、他の精神障害と比較すると、精神の診断書にうまく反映されず、低く評価されがちです。
平成28年9月1日、「精神の障害に係る等級判定のガイドライン」が運用開始され、精神疾患に関して、医師による評価のばらつきが少なくなるようになりましたが、「てんかん」は対象外とされました。
今後、「てんかん」に関しても何らかのガイドラインが作られるべきと考えます。

糖尿病・糖尿病網膜症・糖尿病性腎症:1級レベルなのに病院で3級と言われる(岐阜・名古屋周辺域の実績)

糖尿病・糖尿病網膜症・糖尿病性腎症で障害厚生年金1級(事後重症)が支給決定した 岐阜・名古屋周辺域の方の実績です。

1.病歴

その方(男性)は元々優秀なエンジニアで、自ら会社を興し、かつマリンスポーツの趣味を持つ活動的な方でした。

30年程前、糖尿病となり、3年程前から、糖尿病網膜症、腎臓機能障害、膀胱瘻増設と、糖尿病からくる合併症が急速に現れました。

左目失明、右目も視力が落ちたため、目の前の書類の文字は読めず、体力も衰え、3分程度しか歩けない、といった状態になりました。

2.無料相談~受任~障害厚生年金1級決定まで 

以前障害年金の裁定請求代理をさせていただいた方の友人のお父様が無料相談をしたいとのことで、お会いさせていただきました。

視力の面からも、また体力面からも一人で外出することは不可能な状況であり、以前障害年金の裁定請求代理をさせていただいた方が付き添いで来られていました。

重い障害をお持ちであることは一目瞭然でした。

ファミレスで話を伺うと、既に診断書はとり、腎臓内科の医師に3級相当と言われたと伺いました。

一人で外出できない方が3級相当はないだろうと思い、呆れると共に、怒りを覚え、裁定請求のお手伝いをさせていただくことになりました。

進める中で多くの困難なことがありました。

1)その方は腎臓内科で診断書1枚を作成してもらったので、あとは病歴就労状況等申立書を社労士に書いてもらえばいいと簡単に考えていた。   また、初診証明の必要性・重要性を全くご存知でなかった。

2)腎臓内科の診断書が全く実態を表しておらず、全面的に書き直してもらう必要があった。

3)その方は糖尿病治療と腎臓治療を別病院で受診していたため、糖尿病の診断書を別の病院で書いてもらう必要があったが、糖尿病の医師は診断書作成に慣れておらず、懇切丁寧な説明が必要だった。

4)糖尿病の初診は30年程前であり、初診病院は現在廃院となっており、2番目に行った病院もカルテが残っておらず、初診証明に難儀が予想された。

5)糖尿病網膜症の診断書を書いてもらおうとした眼科では診断書作成を断られ、別の病院で改めて検査、作成してもらう必要があった。

6)眼科の初診病院はかなり昔のことで病院名は記憶していたものの、受診時期ははっきりとした記憶が無く、受診状況等証明書を作成していただく必要があった。

7)糖尿病からくる神経障害があり、膀胱瘻手術に至る泌尿器科の受診経緯も複雑であった。

ご本人は目が不自由なため、口頭でまだしなくてはならないことが多くあることを説明し、ご理解いただきつつ、本人と奥様と私の3人で何度も多くの病院をかけずり回りました。

困難なことをひとつずつ解決し、糖尿病・糖尿病網膜症・糖尿病性腎症で障害厚生年金の裁定請求を行い、その後障害厚生年金1級(事後重症)の受給が決定しました。

3.今回の裁定請求の困難さ 

今回は病歴・通院歴が長期かつ複雑であり、また、医師に診断書を実態に合わせて書き直してもらうのに苦労しました。

腎臓内科の医師は最初私と面談するのを渋っていたものの、後日何とか時間を捻出してもらい、最後は全面的な書き直しに応じてくれました。

最初にお会いした時、その方は請求の準備は殆どゴールに近いととらえていましたが、上記の多くの問題点が山積し、まだ実際はほぼスタート地点でした。

障害年金の請求手続きに対する認識は、一般の方と障害年金を専門とする社会保険労務士では、これ程の大きな開きがあります。

今回のように様々な傷病が重なっており、なおかつ初診病院が既に廃院になっているような場合は、一般の方が進めるのは難しいでしょう。

また、今回のように、1級相当であるにもかかわらず、医師からあなたは3級相当でしょう、などと言われることも珍しくありません。

まず障害年金を専門とする社会保険労務士に無料相談された方がいいと思います。

4.未支給年金手続き、遺族厚生年金手続き 

裁定請求手続きの3か月後、その方は多臓器不全のため、お亡くなりになったと奥様から連絡がありました。

その直後に、障害厚生年金1級受給決定の連絡がありました。

もう少しで、医師に3級程度と言われたにもかかわらず苦労の末1級をとれた喜びを本人、奥様と私の3人で、分かち合うことができたはずでしたが、それが叶わず残念でした。

3人が多くの病院をかけずり回る中、ファミレスで昼食をとった30分ほどの時間が思い起こされます。

その方は若い頃、エンジニアとして東京の会社で腕を磨いた後会社を立ち上げた事、ボートやスキューバダイビングなどの趣味を楽しんだ事、韓国ドラマ、韓国料理が大好きで何度も韓国旅行した事などをあたかもつい最近の出来事のように楽しそうにお話しされました。

今思うと、言葉にはされませんでしたが、自分は充分人生を満喫して思い残すことは何一つ無いと仰っていたのかもしれません。

障害厚生年金受給決定後、奥様に対する(障害年金)未支給年金手続き、遺族厚生年金手続きをさせていただきました。

奥様に無事定期的に遺族年金が入るようになり、その方は安堵されているに違いありません。

心からご冥福をお祈り致します。


心房細動:初診日の認識のずれ(全国対応の実績)

2018/02/14 心疾患

心房細動で障害厚生年金3級(事後重症)が支給決定した遠方の方の実績です。(全国対応の実績)

1.病歴

その方(女性)は会社で体力を使う仕事をされており、動悸、息切れが酷くなってきたため、内科クリニックを受診、心房細動と診断され、即座に大病院の循環器科を紹介されました。
体力が必要な仕事は続けられず、退職しました。
電気的除細動を行い、洞調律を回復、その後服薬で心臓の状態は落ち着いていましたが、3年程経過し、めまいが酷くなり、ペースメーカー埋め込みを行いました。
現在も、長い距離の歩行、階段では、息切れや胸が苦しい症状があります。

2.無料相談~受任~障害厚生年金3級受給決定まで

遠方よりお電話をいただき、心房細動、肝硬変、腎機能低下があり、いずれかが障害年金に該当するかどうか、無料相談がありました。
症状を障害認定基準と照らし合わせた結果、肝硬変、腎機能低下は非該当であることがわかり、心房細動に絞って、障害年金裁定請求のお手伝いをすることになりました。
初診日は、退職直前であることがわかり、ぎりぎり障害厚生年金3級を狙えることがわかりました。
心房細動で障害厚生年金裁定請求手続きを行い、約3か月後無事障害厚生年金3級(事後重症)の受給が決定しました。

3.初診日の前に病院を受診していた?

当初のヒアリングでは、初診日は現在も通院している病院、ということでその病院で診断書を作成していただきました。
診断書ができあがってみると、何と別の内科クリニックからの紹介であることがわかりました。
そのため、急ぎその内科クリニックで初診証明(受診状況等証明書)の作成を依頼しました。
その内科クリニックは1日のみの受診で、何の治療行為もなく、即座に病院を紹介されたそうです。
このような場合でも、初診日は内科クリニック受診日となります。
初診日とは、障害の原因となった傷病について、はじめて医師または歯科医師の診察を受けた日とされています。
一般の方は、初診日に関して誤解されていることがあり、何も治療行為がなかった場合は初診と考えないことがあります。
初診日がいつになるのかよくわからないという方は、まず社会保険労務士に無料相談されることをお勧めしたいと思います。


統合失調症:なぜ前回(1年前)は2級が認められなかったのか?(岐阜・名古屋周辺域の実績) 

2018/02/07 統合失調症

統合失調症で3級から2級への額改定の実績です。(岐阜・名古屋周辺域の実績)

1.病歴

その方(男性)は優秀なエンジニアでしたが、10年ほど前、能力以上の仕事を求められ、自信喪失し、憂鬱気分、気力の低下、不眠が出現しました。
衝動的に自殺を試み、救急搬送、入院を繰り返し、またクレジットカードの限度額を使い切っては借り換えを繰り返し、自己破産し、奥様から離婚を迫られました。
幻覚・妄想も現れ、鬱の時は自宅から出られない状態になります。
既に障害厚生年金3級を受給しており、半年ほど前にご自分で2級への額改定請求を試みましたが、額改定はならず、離婚も重なり絶望していました。

2.無料相談~受任~額改定決定まで

以前障害年金の裁定請求代理をさせていただいた友人の方からの紹介で、無料相談をしたいとのことでしたが、打ち合わせ当日になり、うつが酷く、ふとんから出られず、キャンセルとなりました。
後日改めてお会いし、ヒアリングさせていただき、症状を伺うと、仕事は全くできず、2級相当であるのは、明白でした。
なぜ3級から2級への額改定が認められなかったのか不思議であり、再度額改定請求のお手伝いをさせていただくことになりましたが、前回額改定請求をしたときから、1年経過しておらず、半年ほど待つことになりました。
(平成26年4月1日、「前回額改定請求をしたときから、1年を経過しないと額改定請求できない」という以前のルールが緩和されましたが、「精神疾患」はその待期期間緩和措置の対象外となっています。)
前回額改定請求をしたときから、1年経過を待ち、統合失調症の額改定請求手続きを行い、3か月後無事2級への額改定が決定しました。

3.前回(1年前)2級が認められなかった理由

その方は、過去通院していた病院の医師に治療の効果が上がるとは思えないとして入院を断られたり、薬が効かないことに苛立ち、医師が自分に不満をぶつけてくるなどの扱いを受け、再び医師に見放されるのを恐れ、重い症状は故意に隠していました。
そのため、実態とはかけ離れた3級相当の診断書ができあがり、それで前回(1年前)は2級が認められなかったようです。
今回は日常生活の不便を詳細にヒアリングし、書面にまとめ、医師に読んでいただき、診断書を作成していただきました。
診断書を拝見すると、提供した書面の内容が反映されており、安堵しました。
また、診断書備考欄には、「2級への額改定を望む」、といった単刀直入な表現までも記載され、医師に頭が下がる思いでした。

今迄多くの精神疾患(統合失調症、鬱病、双極性障害、発達障害等)の方の請求代理をしてきましたが、医師に充分症状を伝えきれていない方は非常に多いです。
医師に充分症状を伝えきれていないと感じている方は、まず社会保険労務士に無料相談されることをご検討いただきたいと思います。


障害年金勉強会の講師をしました

障害年金勉強会の講師をしました。

1.実施日: 2017年12月27日
2.場所:  岐阜市在宅介護支援センター 喜の里 会議室
3.受講者: 笠松病院のケースワーカー様、喜の里の介護福祉士様、保健師様

笠松病院、岐阜市在宅介護支援センター 喜の里のスタッフ様を対象に障害年金勉強会の講師をさせていただきました。
障害年金において、「初診日」ほど簡単そうで、実は難しい、ギャップの大きい用語はありません。
初診日・障害認定日について、基礎から理解していただけるように、今回は基本的な事項を中心に説明させていただきました。
しかし、用語の説明に終始してはイメージがわきにくいかと思います。
今迄裁定請求のお手伝いをする中で、初診証明が難しかった事例数点を用いて、説明させていただきました。

笠松病院縮小


脳出血:障害厚生年金1級が決定(岐阜・名古屋周辺域の実績)

2018/01/28 肢体障害

脳出血で障害厚生年金1級(認定日請求)が支給決定した岐阜・名古屋周辺域の
方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)

その方(女性)は、長年大会社の営業でご活躍していました。
ある夜、ご自宅で倒れ、病院に救急搬送され、脳出血と診断されました。
2日ほどして、意識が戻ったときには、左半身が動かず、あまり話すことも
できませんでした。
その後リハビリで話すことはできるようになりましたが、左半身は殆ど動かず、
車椅子生活となりました。
現在、入浴、洗濯、食事、などはヘルパーさんに介助してもらっています。

最初、お子様の障害年金請求手続きの代理のため、お子様がデイケアで通所する
病院に何度か訪問していました。
お子様を紹介をいただいたケースワーカーさんと共に、同病院で脳出血後治療
中のお母さま本人も同席し、お子さんの障害年金請求手続きで話を伺いました。
(その後、お子様は無事障害基礎年金1級を受給されました。)
その中で、お母さま本人も障害年金請求手続き代理をしていただきたいとの
ことで、お手伝いすることになりました。
依頼時は、脳出血で倒れ救急搬送された日から5か月経過していたため、少し
お待ちいただき、初診日から6か月経過後、医師に診断書作成依頼をしました。

通常の障害は、初診日から1年半経過日が障害認定日ですが、平成24年9月に、
障害認定日に関して次のような改正がありました。
「脳血管障害により機能障害を残しているときは、初診日から6月経過した日以後
に医学的観点から、それ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき。」
と記載が追加になりました。
脳血管障害は、虚血性疾患(脳梗塞等)と出血性疾患(脳出血、くも膜下出血等)
に大別されます。
注意点としては、脳血管障害の場合、初診日から6月経過した日が必ず障害認定日
と認められるわけではない点です。
その方の初診日から6月経過日は、機能回復のリハビリは終了していたため、
診断書に、「症状固定」と明記いただきました。
日常生活における動作の障害の程度も細かくヒアリングし、医師に情報提供し、
ほぼその通りの診断書を作成していただきました。
その後、脳出血で障害厚生年金の裁定請求手続きを行いました。

先日、障害厚生年金1級の年金証書が届いたと喜びのお電話をいただきました。
外出も厳しいため、ご自宅に伺いました。
「社労士さんにお願いして、よかった。」と何度もうれしい言葉をいただきました。
その理由について、説明がありましたが、詳細を聞かずとも即座に納得しました。
その方と同じように脳血管障害で車椅子生活となったお知り合いの方は自力で
障害年金を請求されたようですが、何と障害厚生年金3級だったそうです。
あってはならないことですが、肢体障害では充分起こりうることです。
私自身もそれに類することを何度も経験しました。
例えば、診断書の「日常生活における動作の障害の程度」の評価項目に、
「歩く(屋内)」、「歩く(屋外)」という項目があります。
ある方の診断書を医師に作成して頂くと、補助用具(装具、杖、等)を使わず、
全く歩けないにも関わらず、一人でうまく歩けるという評価になっていたことが
ありました。
医師は、補助用具(装具、杖、等)を使わずに評価すべきことを失念していました。
すかさず正当な評価方法と実態をお伝えし、修正していただき、事無きを得ました。
そのような診断書を見過ごし、裁定請求を行うと、その方のお知り合いのような
ことが起きてしまいます。
脳血管障害の厄介さは、これだけではありません。
一般的な障害の場合、症状が悪化した場合、額改定請求が可能です。
したがって、初回の請求時に不幸にも実態と異なる診断書で3級相当とされても、
その後実態に合った診断書で額改定請求をすることにより、2級又は1級と改定
される場合があります。
しかし、脳血管障害の場合、再発がない限り、通常悪化は認められず、額改定の
対象となりません。
実際は再発がなくても悪化することがあります。
そのような場合、加齢や廃用による悪化と判断され、額改定の対象とならないのが
実情です。
したがって、脳血管障害の初回の裁定請求はミスが許されません。
今となっては、社会保険労務士といえども、その方のお知り合いの方を救済する術
は無く、気の毒でなりません。

脳血管障害に関する以上の問題点(2点)は、障害年金を専門とする社会保険
労務士内では、共有する問題点ですが、一般の方はご存知でないと思います。
脳血管障害を負われた方は、是非最初に障害年金を専門とする社会保険労務士に
ご相談いただきたいと思います。


統合失調症:障害基礎年金2級が決定(全国対応の実績)

2017/11/22 統合失調症

統合失調症で障害基礎年金2級(事後重症)が支給決定した遠方の
方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)

その方(男性)は、大学で卒業研究の取り組みと就職活動をしておられました。
研究室の同僚との関係が悪くなり、引きこもりとなり、大学も中退となりました。
幻聴のような症状もあり、親に精神科に連れていかれ、鬱病と診断されました。
しかし、本人は自分が病気と認めたくなく、その後通院はしませんでした。
自室にひきこもりとなり、全身毛むくじゃらの化け物が自室に現れる幻覚を見たり、
自分が常に監視されているといった妄想にとりつかれたり、希死念慮も表れました。
そのため、すぐ診察してくれる精神科を探し、受診し、統合失調症と診断
されました。
スパイが潜伏している可能性を恐れ、外出せざるをえないときは、常にマスクをし、
パソコンのメールも盗聴されていることを恐れ、通信データの解析をしていました。
2013年6月13日、エドワード・スノーデン氏による盗聴暴露のニュースが
流れ、盗聴に対する警戒心は増し、コンピュータ関係の技術書を読み漁るように
なりました。

最初、遠方であったため、ご本人より電話でご相談がありました。
非常に聡明な方でした。
具合が悪くなり始めたときから、現在までパソコンで日記をつけていました。
幻覚を見た日、処方された薬の効果、副作用など細かく日付のはいった記録があり、
それらを見せていただき、病歴をまとめました。
初診日は、親に連れていかれ、1日のみ受診した精神科になります。
その病院に電話すると、当時の主治医は亡くなられ、1日のみの受診で、カルテを
探すのに時間がかかりそうであり、できれば勘弁してほしい口ぶりでした。
障害年金は、原則初診証明が必要になるため、是非お願いします、と頭を下げ、
証明していただきました。
症状をヒアリングし、現在通院中の病院に、症状をまとめた資料をお渡しし、
診断書作成依頼をしました。
ほぼ実態にあった診断書を作成していただけました。
昨年9月1日施行された「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定
ガイドライン」で示された障害等級の目安に照らしてみると、2級相当であり、
傷病名:統合失調症で障害年金裁定請求手続きをしました。

先日、お電話があり、傷病名:統合失調症で障害基礎年金2級の年金証書が届いた
と喜びの連絡がありました。
「ありがとうございます。お力添えがなければ私一人では途方にくれていたと
思います。」とのメールをいただきました。
前述のガイドラインはあくまでも目安にすぎません。他の要素が加味され不支給と
なることもありえます。
本人の日記より、病歴就労状況等申立書を作成する際、幻聴、幻覚の内容、その
日付、克明な薬の副作用の症状、その日付を細かく記載でき、医学的な参考資料に
なるのではないかと思えるほどとなりました。
その申立書の迫力は行政にも伝わり、2級受給を確実なものにしたと思います。

その方は、ITの知識は豊富で私へのメールの添付ファイルの暗号化についても
抜かりなく対応され、私も勉強になりました。
今後健康を回復し、ITに関する優秀な頭脳を生かせる企業で活躍されることを
待ち望んでいます。


統合失調症:障害基礎年金1級(遡及)が決定(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2017/11/09 統合失調症

統合失調症で障害基礎年金1級(遡及)が支給決定した岐阜、名古屋周辺域の
方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)

その方(女性)は、専業主婦でお子さんもいらっしゃいました。
子育てのストレスから、さまざまな妄想、幻聴、徘徊をするようになりました。
ご主人が浮気している妄想があり、学生時代のボーイフレンドの「結婚したい」
という幻聴が聞こえ、離婚届の準備をされました。
家具やご主人の衣類を窓から投げ捨てたりしたため、ご主人が入院させることに
しました。
入院中は、ノートに日記を書いておられ、幻聴、妄想について書いていました。
その後も、軽快、退院、悪化、入院を繰り返していました。
また、本人は病気ではないと思い込み、服薬を嫌がり、ご主人が薬を飲ませる
のも苦労していました。

最初、ご主人からお電話があり、ご主人の自宅近所のファミレスで相談を受け
ました。とにかく、幻聴、妄想が多いということでしたが、具体例はあまり
得られませんでした。
何度もねばると、奥様は10冊程日記を書いていることがわかり、何とか貸して
ほしいと頭を下げ、大事な日記を預かるからには、一字一句逃さず、何が何でも
障害年金取得に役立てるつもりでした。
お借りした10冊程の日記を一晩中に読み上げ、重要な証拠を多数得ることが
できました。
そこには、学生時代のボーイフレンドの「結婚したい」という声を聞いたことや
お化けを見て怖かったことなどが日付入りで記されていました。
ご主人からのヒアリングと日記に記された幻聴、幻覚、妄想の内容を基に、
初診日から1年半後の障害認定日頃と現在の症状をまとめ、医師に診断書を
書いていただく準備ができました。
障害認定日頃に通院していた病院は、私が診断書作成依頼をしてきました。
結果、当時の症状に見合う診断書ができあがりました。
次に、現在通院している病院に、診断書作成依頼をするのは本人とご主人です。
ご主人には、症状をまとめた資料を渡しました。
奥様は医師の前では、「家事は問題なくできている」と事実と異なることを言う
とのことでした。
それまでの通院でも、ご主人が医師に本当のことを言うと、ご主人に
「私は病気じゃない」と怒ったそうです。
そのため、医師に実態が伝わるか私もご主人も非常に心配でした。
しかしそれも杞憂であり、医師は私が作成した資料をしっかり参考にされており、
実態にあった診断書ができあがってきました。
昨年9月1日施行された「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定
ガイドライン」で示された障害等級の目安に照らしてみると、
障害認定日:1級又は2級相当(2級に近い)、現在:2級相当でした。
病歴就労状況等申立書にも、日記に書かれた幻聴、幻覚、妄想の記録を余すこと
なく、原文のまま記載し、傷病名:統合失調症で障害年金裁定請求(遡及請求)
手続きをしました。

先日、ご主人から、傷病名:統合失調症で障害基礎年金1級(遡及)の年金証書が
届いたと驚きの連絡がありました。
子の加算もあり、5年分の遡及もあり、相当額の初回入金がありました。
ご主人も私も2級が間違いなくとれればいいというのが正直な気持ちで、1級は
頭にありませんでした。
実際、前記ガイドラインの目安では、2級に近い診断書でした。
しかし、結果は1級の5年遡及が認められ、最高の結果となりました。
日記に記載された幻聴、幻覚、妄想の内容は非常に生生しく、原文をそのまま引用
することで、行政に訴える力は大きかったはずです。
ご主人が最初は躊躇されていた日記をお借りできたことが、1級遡及受給に
つながったのは間違いありません。

10冊程の日記には、合間に幻聴、妄想について書かれていたものの、大半は
お子さんにしてあげたい夢・希望が書かれており、お子さんへの愛情に満ち
あふれ、微笑ましいものでした。
ご主人は、奥様が子育てのストレスを抱えていたと仰っていました。
お子さんにしてあげたい高い理想と現実とのギャップがストレスを生み、精神を
病んだような気がします。
今後、お子さんにいっぱいの愛情を注いであげられるように回復されることを
願ってやみません。


後縦靭帯骨化症(難病):障害基礎年金1級が決定(全国対応の実績)

胸椎後縦靭帯骨化症(難病)で障害基礎年金1級(事後重症)が支給決定した
遠方の方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)

その方(女性)は、背中、腰に負担のかかる肉体労働のパートをしていました。
従業員が1人減り、一人あたりの仕事量が増加し、さらに体に負担がかかるように
なりました。
上司には、何度も対策を要望しましたが、目だった対応はありませんでした。
床の段差を下りた時に、足の力が抜ける事があり、徐々に頻繁に起きるように
なりました。
病院を受診したところ、胸椎後縦靭帯骨化症と診断され、難病指定されました。
黄色靭帯骨化症も併発していました。
その後、歩けなくなりました。
後縦靱帯骨化症とは、背骨の中の後縦靭帯の一部が骨化した結果、脊柱管が狭くなり、
神経根が押されて感覚障害や運動障害等の神経症状を引き起こす病気であり、
指定難病の一つです。
胸椎5~胸椎12まで16本のチタンボルトで固定する手術 (胸椎後方固定術)を
受けました。
現在、10メートル位迄両杖でゆっくり歩けますが、外出は車椅子を使用して
いました。

最初、遠方であったため、ご本人より電話でご相談がありました。
その時は、元気で明るい印象でした。
詳しく話を聞くと、障害年金でなく、労災の申請をしてもらえないかということ
でした。
職場では、会社に何度も対策を要望したにもかかわらず、殆ど聞いてもらえず、
障害を負ってしまったので、労災にならないと悔しいと仰っていました。
その方の地元の労働基準監督署に電話で相談したところ否定的な答えでした。
医師が明確に、業務と障害との因果関係を説明できないと認められないとのこと
でした。
私の地元の労働基準監督署にも出向き相談しましたが、同様でした。
職場での突発的な事故で脊髄を損傷したということであれば、認められるが、
原因がよくわからない難病で認められることはまずないでしょうという回答
でした。
そこで、労災については、諦め、障害年金を目指すことになりました。

次に、初診日を決めるのにかなり時間がかかりました。
その方は、障害年金は初診日が大事であり、それを間違えると支給されないことも
ありうるということもよくご存知でした。
初診日の頃、貧血、他の病気による痛み、肩こり、腰痛などでいろいろな
クリニックを受診しており、一体いつのどこが初診になるのかわからない、
あーでもない、こーでもないとメールのやりとりが続きました。
いろいろなクリニックに問い合わせましたが、すっきりとした結論は出ません。
結局、現在通院している病院の主治医に、経過を説明し、どれが相当因果関係の
ある傷病かを相談し、見解を聞き、初診証明をとりました。

その後、現在通院している病院で診断書を作成していただくにあたり、現在の症状
をまとめるためのヒアリングをしましたが、これも一筋縄にいきませんでした。
肢体障害の場合、診断書の「日常生活における動作の障害の程度」が重要です。
その方は、「片足で立つ」、「深くおじぎをする」、「歩く(屋内)」、
「歩く(屋外)」、「階段を上る」、「階段を下りる」、「ズボンの着脱」、
「靴下を履く」、「用便の処置をする」の項目を特に細かくヒアリングしました。
その方は、内心自分が障害者だと認めたくない気持ちをお持ちだったようです。
当初は、ある程度自力で歩くことができる、階段も何とか登れるようなことを
仰っていました。
そのため、障害年金2級も厳しいかもしれないというのが最初の印象でした。
しかし、聞けば聞くほど実際はかなり重症だということがわかってきました。
両杖無しでは全く歩けない、玄関を出たところに小さな段差があり、それさえ、
両杖があっても下りることはできず、家族の支えが必要とのことでした。
階段の昇り降りなどはもっての他です。
命がけでやれば階段も3段くらい登れると言うのですが、命がけで階段を3段
登れても「登れる」といわない。それは紛れもなく、「登れない」という
のですよと説明しました。
さらに、恥ずかしさと自分がみじめになるのが嫌で、隠していらっしゃったこと
もありました。
診断書に「用便の処置をする」という評価項目がありますが、上半身を折り曲げ
たり、ねじったりができず、用便の処置も自分でできない程酷い状況でした。
風呂でも、頭や下半身は自分で洗えないということでした。
それらの隠していたこともすべてさらけ出していただき、日常生活能力を
まとめて、医師に診断書作成依頼をしました。
その結果、ほぼ実態にあった診断書ができてきましたが、一部実態と異なる点は
妥協せず指摘し、修正していただきました。

最後に、住民票、戸籍謄本などを取得してくださいとお願いしました。
今迄苦労を重ねた初診証明、診断書と違い、単純な事務作業であり、すぐ対応
していただけると軽く考えていました。
しかし、ここでまたつまずきました。
お子さんの進学のため、その入学手続き、準備を身体の不自由なその方が全部
ひとりでこなしていました。
1か月経過しても一向に書類が整わないため、お電話したところ、自分の障害
年金よりも子供の進学を優先してやっているが、この不自由な身体でやるのは
もう心身共に疲れ果て、死にたいと思うこともあると、今までとは別人のように
元気のない声で仰いました。
精神的にまいってしまっておられたので、ゆっくり進めてくださいと、
急かさないようにしました。
(とはいうものの、診断書の有効期限があることはお伝えしました。)

このように、最初電話でご相談いただいてから、6か月もかかってしまい
ましたが、傷病名:胸椎後縦靭帯骨化症での裁定請求手続きを無事終える事が
できました。
しかし、6か月間だらだらと進めていたわけではなく、労災の検討から始まり、
紆余曲折があり、時に強い口調でたしなめ、時になぐさめ、やるべきことは
やりつくし、双方納得のいく充実した6か月でした。

先日、お電話があり、傷病名:胸椎後縦靭帯骨化症で障害基礎年金1級
(子の加算あり)の年金証書が届いたと喜びの連絡がありました。
思っていたよりも高額な年金をもらえることになり、うれしくて、何度も
感謝の気持ちをお示しいただきました。
当初、障害基礎年金2級もどうかわからないと思われました。
自尊心を傷つけてしまったところはあったかもしれませんが、プライド、
恥ずかしさは捨てていただき、正しい日常生活能力を明らかにされ、
その通りの診断書ができあがり、障害基礎年金1級受給に結び付きました。

すべての書類がそろい、ようやく裁定請求の準備が整ったときに、いただいた
メールの一文が心に残りましたので、紹介させていただきます。
「海外で商売をする夢もあったんですが、あきらめました。もし 障害年金が
決まれば また夢を見つけて生きる希望も見つけられるような気がします。」
その方は、もともとファイトのある方です。次の夢はきっと見つけられる
でしょう。
今回の障害年金受給がその一助になれば、それに勝る喜びはありません。


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