2017年8月

腰椎椎間板ヘルニア:障害厚生年金3級が決定(全国対応の実績)

2017/08/20 肢体障害

腰椎椎間板ヘルニアで障害厚生年金3級(事後重症)が支給決定した遠方の
方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)

その方(男性)は、重いものを持つことの多い仕事をされており、腰痛があり、
整形外科を受診しました。
腰椎椎間板ヘルニアと診断されました。
椎間板ヘルニアとは、次のようなものです。
脊椎は、上から、頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨1個、尾骨1個で構成
されています。
脊椎を構成する骨の前方部分を椎体といい、椎体と椎体の間には椎間板という
軟骨があり、クッションとなっています。
椎間板は、繊維輪という硬い部分とその中の髄核という軟らかい部分から
できています。
椎間板ヘルニアとは、繊維輪に亀裂が生じ、髄核が繊維輪を破って飛び出して
しまう事を言います。
飛び出した椎間板の一部が、付近にある神経などを圧迫する事により、激しい
痛みや痺れなどの症状を引き起こします。

その方は、下肢の知覚障害も出現し、歩行困難となりました。
膀胱直腸障害も出現し、手術となり、半年にわたる長期入院となりました。
退院された現在、杖があっても10分程度しか歩けない、座る姿勢も1時間が
限界、1日の大半は横になっている生活でした。
膀胱直腸障害のため、排泄も不自由で、長時間の外出はできませんでした。
会社は退職となり、健康保険の傷病手当金もあと2か月しかもらえないため、
経済的な不安を訴えていらっしゃいました。

遠方の方のため、最初お電話で相談がありました。
しかし、遠方の社会保険労務士だったせいか、請求代理契約を断られました。
ところが、1か月以上経過し、やっぱり請求代理をお願いしたいとお電話があり、
ご協力させていただくことになりました。
医師に診断書作成依頼をし、できあがった診断書を確認しました。
肢体障害の場合、診断書の「日常生活における動作の障害の程度」が重要です。
その方は、歩行困難のため、「歩く(屋内)」、「歩く(屋外)」、
「片足で立つ」、「階段を上る」、「階段を下りる」の項目を特にしっかり
チェックしました。
これらの項目も含め、実態にあった診断書であり、問題なく、審査が進むと
予想していましたが、2か月ほどして、日本年金機構から、返戻(問い合わせ)
がありました。
診断書作成医師に対する照会(質問)でした。
L5(上から5番目の腰椎)、S1(仙椎:L5の下の椎骨)の神経根の障害の
有無、馬尾障害の有無についての、質問でした。
根拠の部分は省略しますが、結論としては、両者共に「有ると考えられる」、
と医師は回答されました。
下肢の知覚障害、歩行障害、膀胱直腸障害という実際の症状にあった妥当な回答を
していただけ、これで間違いないと思いました。

先日、傷病名:腰椎椎間板ヘルニアで、障害厚生年金3級の年金証書が届いたと
喜びのお電話をいただきました。
「日常生活における動作の障害の程度」を含め、実態にあった診断書を作成して
いただいたことと、日本年金機構からの返戻に対して、間違いない素晴らしい
回答をしていただけたことが、今回、腰椎椎間板ヘルニアでの障害厚生年金3級
受給に結び付いたと思います。
今迄は、診断書の内容が実態より軽く書かれていたり、記載もれがあったりして、
修正、追記をお願いすることが多かったですが、今回はそのようなことがなく、
ストレスなくスムーズに進めることができ、お医者様に感謝したいと思います。


双極性感情障害:障害厚生年金2級(額改定)が決定(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2017/08/16 躁うつ病

双極性感情障害(そううつ)で障害厚生年金2級(額改定)が支給決定した方の
実績です。(岐阜・名古屋・全国の額改定請求の実績)
その方(男性)は、ソフト開発会社に勤務していましたが、精神を病み、退職と
なりました。
4年程後に自力で、傷病名:双極性感情障害として、精神障害で障害厚生年金の
裁定請求(遡及請求)を行いました。
過去(遡及)分は、障害厚生年金2級が認められましたが、請求後(事後)分は
障害厚生年金3級とされました。
その後の更新(障害状態確認届)でも、3級は変わらずでした。
精神状態がある程度落ち着いた後、ソフト開発の自営を始め、主にソフト会社等の
下請けをしていました。
ある会社よりソフト開発を請け負い、完成後納品するものの、何度も何度も作り直し
を要求され、泥沼化し、再び精神状態が悪化したとのことでした。

最初、ホームページより、病状が悪化し、額改定請求をしたいと、問い合わせがあり、
ご自宅近くの喫茶店でお会いすることにしました。
ご本人と奥様とでお話しを伺いました。
数か月前から、全く動けない時と、異常にハイになり、競馬にのめりこんだりを
くりかえし、双極性感情障害(そううつ)の特徴が顕著に表れるようになりました。
また、感情が高ぶると、希死念慮や、自傷への衝動が激しくなるとのことでした。
ベランダから飛び降りたいと思うこともあったようです。
とうとう、仕事もできなくなり、日常生活でも動けなくなり、入院することになった
とのことでした。
日常生活の不便をメールでヒアリングする上で、ご本人が精神的に不安定で、取り
組めないときは、奥様が代わりに対応していただけました。
ヒアリング資料をまとめ、医師に提出し、診断書を書いてもらいました。
できあがった診断書を拝見すると、日常生活能力の判定、日常生活能力の程度が
明らかに実態(提出資料に記載)から乖離しており、軽い症状に書かれていました。
何と、医師は最近2年間の病状の平均を書くものだと思い込んでいたことが
わかりました。
1~2年前は自営業を何とかこなしていた一方で、今現在は全く仕事が手に
つかない状態です。
そのような全く異なる状態2年間を平均して診断されているとは思いもしません
でした。
早速、今現在の障害の状態を書いてくれるよう、根拠も合わせて、医師に手紙を
書きました。
根拠は、厚生年金保険法施行規則第四十七条2の一です。
そこに、額改定請求時は、障害の「現状」に関する診断書を添付しなさい、
と定められています。
それにより、日常生活能力の判定7項目中2項目と日常生活能力の程度を修正して
いただけ、ほっとしました。
昨年9月1日施行された「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定
ガイドライン」で示された障害等級の目安と比較しても、3級から2級への改定は
いけると確信し、傷病名:双極性感情障害の額改定請求手続きを行いました。

先日、障害厚生年金2級への額改定決定通知があったと喜びの連絡がありました。
配偶者と子の加算も加わり、従来の障害厚生年金3級と比べると障害厚生年金2級
の年金額は2.6倍程になりました。
医師の誤解を解き、診断書を修正していただけなかったならば、まず額改定は
ならなかったと思います。
今回は極端でしたが、医師は障害年金の診断書の書き方に詳しくない方は多いです。
しかし、患者さんは、忙しい中診断書を作成していただいた主治医に対して、
「診断書はこのように書くんですよ」などと講釈を垂れるようなことは、仮に知識が
あったとしても、実際そうはできることではありません。
社会保険労務士がしっかり丁寧に医師をサポートすることが大切だと考えています。


双極性感情障害:障害基礎年金2級が決定(全国対応の実績)~精神ガイドライン ~20歳前傷病

2017/08/07 躁うつ病

双極性感情障害(そううつ)で障害基礎年金2級(事後重症、20歳前傷病)が
支給決定した遠方の方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)

その方(女性)は、幼少時より、同級生等からいじめを受け、自分の持ち物に触ると
ばい菌がつくなどと言われたりしました。
高校卒業後、遠方の専門学校に入学し一人暮らしを始めましたが、いじめとホーム
シックのため、幻聴、摂食障害、パニック発作などがあり、専門学校を中退し、
実家に戻りました。
精神科を初めて受診したのは、20歳の誕生日の10日程前でした。
抑うつ状態と診断されました。
その後、一人で外出することはできず、ひきこもりとなりました。
数年経過し、少しは外出できるようになり、パートに挑戦しましたが、
他の人と同じように仕事ができず、上司、先輩から罵倒され、ストレスが溜まり、
自傷行為、パニック発作が悪化し、結局解雇となりました。
その後、再度パートに挑戦しても、同様に、上司、先輩から叱責を受け、ストレスが
溜まり、退職に追い込まれました。
現在、その方はごく短時間の就労をしていましたが、清掃のような単純作業で、
しかも自分のペースでしてよいという配慮された雇用(アルバイト)でした。
しかし、現在のごく短時間のアルバイトの給料では、病院までの交通費と治療費で
消えてしまい、ご家族内で肩身が狭いと仰っていました。
現在通院の病院では、双極性感情障害と診断されていました。

遠方の方のため、最初お電話で相談がありました。
電話では、予想外に、明るく、気さくな女性でした。
家族以外の人とは、対面では緊張であまり話ができませんが、電話だと話しやすい
ようでした。
既に、医師に診断書を書いてもらったというので、診断書を見せてもらいました。
不備、実態に合っていない点が多くありました。(下記1~6など)
(1)初診日の確認手段の記入もれ
(2)通院歴のもれ
(3)処方薬の記載が無い
(4)日常生活能力の判定の「社会性」の項目が実態にあっていない
(5)現症時の就労状況は、ごく短時間の配慮されたアルバイトであったにも
かかわらず、一般雇用となっていた。
(6)記載必須欄が空白であった。
昨年、厚生労働省において、「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級
判定ガイドライン」が策定され、9月1日施行されました。
その中で、診断書記載項目のうち、「日常生活能力の程度」の評価及び
「日常生活能力の判定」の評価の平均を組み合わせたものが、どの障害等級に
相当するかの目安が示されました。
また、「現在の病状又は状態像」、「療養状況」、「生活環境」、「就労状況」、
「その他」について、考慮されるべき要素と具体例が明示されました。
上記(3)は、ガイドラインの「療養状況」に相当する内容であり、医師に
処方薬を追記依頼しましたが、対応していただけなかったため、最近のお薬手帳
を数回分コピーして裁定請求書類に添付しました。
上記(4)は、ガイドラインの「障害等級の目安」に相当する内容であり、
外出先で母親とはぐれるとパニック発作を起こしたり、各種手続きも一人では
できないこと、などを医師にご説明し、日常生活能力の判定の「社会性」の項目
を修正していただきました。
上記(5)は、ガイドラインの「就労状況」に相当する内容であり、就労はして
いても、充分配慮された上でのごく短時間の就労(アルバイト)である、
と医師に修正していただきました。
上記(1)、(2)、(6)は、医師に手紙で丁寧に説明し、追記、修正して
いただきました。

先日、障害基礎年金2級の支給決定連絡があったとお電話があり、経済的に
少し余裕ができたのがうれしいと、お喜びでした。
上記(1)~(6)の対応が支給決定に大きく寄与したのは間違いなく、
本当に良かったと思います。
今後は、経済的な理由から、もっと長時間の就労に挑戦したいと仰っていました。
しかし、障害者を受け入れる求人はまだ少なかったり、入社しても配慮が充分で
なく、以前のように叱責、罵倒され、長く続かないことも多いです。
是非、双極性感情障害といった障害者にも充分配慮した雇用が増えることを期待
したいと思います。

また、今回のケースで特筆すべきは、その方は非常に幸運だったことです。
初診は、20歳の誕生日の10日程前でした。しっかり初診証明もとれました。
その方は、20歳から引きこもりであった数年間国民年金保険料が未納で、
免除申請もしていませんでした。
したがって、もし初診が実際より10日後で、20歳を迎えていたら、保険料
納付要件は満たさず、障害年金を受給できませんでした。
20歳前の年金制度に加入していないときに、初診日がある場合は、納付要件は
問われないという特例に救われたのです。
国民年金保険料の未納が多いといった報道を耳にします。
国民年金保険料の納付率は(申請免除、納付猶予を除いても)約65%です。
一方、日本人の約6~7%は障害(身体、知的、精神)を持つと言われており、
誰もが障害年金のお世話になる可能性があるといっていいでしょう。
今迄障害年金の相談を受けた方で、保険料納付要件を満たさず、代理をお断り
させていただいた方は何人もいらっしゃいました。
社会保険労務士であっても、保険料納付要件だけは、どうしてあげることも
できません。(社会的治癒を利用して救済可能なケースもありますが、
すべての方を救済できるわけではありません。)
国民年金保険料は是非納付していただきたいと思います。
どうしても、経済的に納付できない場合は、保険料免除・納付猶予制度を
ご利用ください。
障害年金制度は、経済的弱者にとても優しく作られており、事前に申請手続き
をしておけば、障害年金の保険料納付要件は満たされることになります。
(障害年金の保険料納付要件や保険料免除・納付猶予制度について、詳しくは
日本年金機構のホームページをご覧いただくか、我々社会保険労務士にご相談
ください。)
今回の女性は、初診の時点では保険料納付要件のことは頭にないどころか、
障害年金制度の存在自体ご存知でなかったわけですから、幸運だったとしか
言いようがありません。
しかし、一般の方は長い人生の中で予期せぬ障害を負ったときに、幸運を期待
しなくとも安心して障害年金制度を利用できるように、普段から国民年金
保険料を納付していただくか、保険料免除・納付猶予の申請をしておいて
いただきたいと思います。