2017年7月

統合失調症:障害基礎年金1級(認定日請求)が決定(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2017/07/28 統合失調症

統合失調症で障害基礎年金1級(認定日請求)が支給決定した岐阜、名古屋周辺域
の方の実績です。

その方(男性)は、高校生の頃不登校傾向になり、平成23年3月11日、東日本
大震災のニュース映像を見た後、引きこもり、奇異行動(徘徊、独言、空笑)
が始まり、母親と児童相談所により精神科に連れて行かれ、統合失調症と診断
されました。
その後定時制高校に入学しましたが、何事も行動が遅く、また自ら次の行動を
とれない、などで、同級生、先生の指示を頼りに次の行動をしていました。
自力で通学するのも難しく、母親が車で学校の玄関までの送迎をしていましたが、
学校の玄関から教室までも一人で行けないことも度々ありました。
母親が脳出血で倒れ、入院となり、通学できず退学、まともな食事もとらず、
1日1回菓子を食べるだけになり、痩せていきました。
そのため、病院付属のデイケアに月~土と通い、昼食、夕食を食べるようになり、
体力が回復しました。
しかし、デイケアの最中も、毎日のように徘徊していました。

度々お声かけいただいている、なじみのケースワーカーさんから、その方を紹介
されました。
本人と同じ病院に入院中の母親とケースワーカーさんとでヒアリングを行いました。
本人に高校生の頃からの病歴、日常生活能力をヒアリングしようとしましたが、
殆ど何も語らなかったため、窮し、やむを得ず、ノートとペンを渡し、内容は
問わないので思ったことを毎日書くようにお願いしました。
今迄、統合失調症の方の日記を拝見すると、明らかにその特徴が読み取れたから
です。2週間ほど経過し読ませていただくと、驚きました。
特徴が表面上現われていないどころか、しっかりとした字体と文章表現でした。
文章はしっかりしたことを書けるにもかかわらず、日常生活は自分一人では
生活できないアンバランスさがありました。
母親は入院リハビリ中のため、情報提供について、無理も言えませんでした。
高校生のときの記録が児童相談所に残っているはずなので、実際に出向きましたが、
個人情報の関係で、取得手続きが煩雑かつ時間がかかりすぎるため、断念しました。
ケースワーカーさんが保有する情報、母親からのわずかな情報を得て、病歴と
日常生活能力の資料をまとめました。
参考資料を医師に提出し、診断書を書いていただきました。

先日、お母様より障害基礎年金1級の年金証書が届いたと連絡を受けました。
母親自身全く働けなくなり、急に収入減となったため、1級の結果にたいそう
お喜びでした。
私もケースワーカーさんも2級を予想していたため、驚きました。
昨年、厚生労働省において、「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級
判定ガイドライン」が策定され、9月1日施行されました。
その中で、診断書記載項目のうち、「日常生活能力の程度」の評価及び
「日常生活能力の判定」の評価の平均を組み合わせたものが、どの障害等級に相当
するかの目安が示されました。
その方の日常生活能力の判定、日常生活能力の程度からは、目安は「1級又は2級」
レンジであり、「1級単独」レンジにごく近いところでした。
そのガイドラインの目安が素直に適用された結果であり、うれしい誤算でした。

現在その方は20歳代前半であり、まだ長い人生を生きていかなければなりません。
今は、社会性、他人との意思疎通能力は低いため、暫くは社会に出て仕事をする
のは困難かと思います。
また、今は食事、入浴などの日常生活も自発的にはできません。
何らかのサポートが無いと、今後の人生は厳しいと言わざるをえません。
しかし、日記を拝見する限り、知的レベルは低くなく、興味のあることに対しては
理路整然と自分の考えを表現していました。
日記には、尊敬する人物は「菅直人」元首相であり、東日本大震災での原発事故
への対応について書いていました。
また、天気図を見るのが好きで、当時の天候を天気図から理論的に解説していました。
たとえ知的能力がどんなに高くても、一般的な社会のルールの下で行動し、他人との
意思疎通ができないと、社会は受け入れてくれません。
現実的には厳しいかもしれませんが、医師による治療と共に、その方の興味のある
ことを今後伸ばしていけるサポートがあり、社会参加への道が作れないものか。
日記を読み返し、そのような思いが募りました。


うつ病:障害厚生年金2級(事後重症)が決定(全国対応の実績)

2017/07/22 うつ病

うつ病で障害厚生年金2級(事後重症)が支給決定した遠方の方の実績です。
その方(男性)は、日本のハイテク産業を支える優秀なエンジニアでした。
長時間の残業続きで、精神的に疲労困憊の中、不慮の事故でお子さんを亡くし、
精神的なダメージで会社に行けなくなり、精神科を受診しました。
1年半休職後、職場に復帰しましたが、うつ症状が再発し、再び会社に行けなく
なりました。
考えがまとまらず、人と接触を避け、家に引きこもり、この先自分の調子も戻らず、
仕事ができないと、家族の生活が成り立たなくなると思い、死にたいと思うように
なりました。
また、椅子に座っているときの尻や太もものの痛み(ストレスによる身体化障害)が
ひどくなり、立って食事をするようにもなりました。

遠方のため、最初奥様よりお電話で相談がありました。
ご主人がうつ病になった背景には、テレビのニュースでしか見たことが無い驚くべき
事実があり、衝撃を受けました。
奥様の情報提供は豊富でスピーディーであったため、病歴、現在の日常生活能力に
ついて、順調にまとめることができました。
病歴、現在の日常生活能力をまとめ、医師宛の診断書作成依頼状を作成しました。
医師に作成していただいた診断書を拝見すると、胸を打つ感動的な診断書でした。
お子さんを亡くし、悲しみ、自責の念、怒り、恨み、辛さのために、精神に
ダメージを受け、仕事ができなくなり、身体化障害まで引き起こした経緯が克明に
記載され、誰が読んでも胸を打つものでした。
日常生活能力の判定・程度も実態にあった記載をしていただけました。
若干記載もれ、記載誤りがあり、修正を依頼するため、遠方の医師にお電話させて
いただきました。
医師は、その方をご心配され、少しでも障害年金獲得の役に立ちたいという気持ちが
満ち溢れた予想通りの熱い方でした。
修正を御願いすると、忙しいにも関わらず、半日(通常はありえないスピード)で
修正していただけました。

先日奥様より、障害厚生年金2級の支給決定の喜びのお電話をいただきました。
医師が作成する診断書は、患者の病状を100%ドライに伝えられていれば、
充分と思っていましたが、今回の医師が作成した診断書は、病状を100%正確に
伝えるに留まらず、病歴および現在の病状の記載欄は余白が無いほどびっしりと
埋まり、何としても患者様に障害年金を取らせてあげたいという気迫が、行政にも
伝わる診断書でした。

中には、社会保険労務士の作成する参考資料を全く見ていただけない医師もいる中、
日常生活能力の判定・程度の根拠となる、日常生活(食事、清潔、金銭管理、通院、
他人との意思伝達、安全保持、社会性)の困難さ39項目の提供、長時間残業に
よる疲弊、お子さんの行方不明、絶望感の中一縷の望みにかけ、わずかな情報を
手掛かりに幾日も捜し歩いたこと、精神の破綻、それに伴う身体化障害、休職、
会社からの退職勧奨示唆、自殺未遂、までの経緯を細かく情報提供させていただき、
お子さんを探す間毎夜うなされた悪夢の内容も含め、すべて診断書に反映して
いただけました。
一般に、過去のカルテから情報をひろい集めて1枚の診断書を作り上げるのは
大変な作業であり、また、どうしてもカルテからはひろえない情報もあります。
医師は患者の病気を治療するのが仕事であり、一人の患者の診断書作成にさける
時間はわずかです。
障害年金支給/不支給を分ける最も重要な書類は、医師が作成する診断書です。
診断書を埋める一文字、一文字は非常に重いです。
障害年金の請求代理を行う社会保険労務士は、医師が短時間でも適確な診断書が
書けるように、依頼者から細かくヒアリングし、必要な情報をもれなく、整理して
提供し、医師をサポートすることが必要だと改めて感じました。