2017年3月

うつ病:障害厚生年金3級(認定日請求)が決定(全国対応の実績)

2017/03/27 うつ病

うつ病で障害厚生年金3級が支給決定した全国対応(遠方)の方の実績です。

その方(男性)は、電話営業主体の保険代理店にお勤めでした。
1日中電話営業していましたが、社名を名乗った瞬間に切られる、
「どこからこの番号を探したんだ!」と怒鳴られることは日常茶飯事でした。
目標契約数に達しないことが続き、他の社員の前で上司から厳しく叱責される
ことが増えました。
徐々に電話をするのが怖くなり、頭痛、嘔吐が始まり、会社も休みがちとなり、
退職となりました。
プレッシャーが少ないと思われる会社に転職しましたが、以前のプレッシャー、
恐怖感がよみがえり、頭痛、嘔吐が再発し、欠勤が多くなり、心療内科受診と
なりました。
医師と相談し、治療に専念するため、会社を退職しました。
数か月治療を受け、リハビリのつもりでアルバイトを始めましたが、頭痛、意欲の
低下で続けられませんでした。

その方は、ご自分で請求しようと、既に医師に診断書を書いてもらっていました。
しかし、病歴就労状況等申立書を途中まで書いたところで、頓挫し、障害年金専門の
社会保険労務士に頼んだ方がいいと知り合いから聞き、私に相談がありました。
病状をヒアリングし、既にできあがっている診断書を拝見すると、実態との乖離が
ありました。
医師には、どのようなことがどのように乖離があるのかしっかりご説明した手紙を
書き、実態にあった診断書に修正していただきました。
また、自力で途中まで書かれた病歴就労状況等申立書を見ても、表面的なことしか
書かれておらず、症状、障害の状態があまり伝わってこない文章でした。
突っ込んでヒアリングすると、会社を退職したときの辛さや治療が進み、
就労しようと挑戦したがうまくいかなかった苦しみが、よく理解できました。
それらの辛さ、苦しみが行政に余すことなく伝わるように、具体的に細かく記載
しました。

先日、本人から障害厚生年金3級(認定日請求)の支給決定があったと連絡があり、
非常に喜んでいただけました。
いろいろとできることはすべて行い、3級が支給される可能性は上げられたと
思いますが、それでもまだ、支給/不支給のボーダーライン上にあるというのが
正直な感触でした。
昨年、厚生労働省において、「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定
ガイドライン」が策定され、9月1日施行されました。
その中で、診断書記載項目のうち、「日常生活能力の程度」の評価及び
「日常生活能力の判定」の評価の平均を組み合わせたものが、どの障害等級に相当
するかの目安が示されました。
その目安で見ると、当初の診断書では、「3級又は3級非該当」のレンジの中でも、
限りなく「3級非該当」のレンジに近い診断となっていました。
ヒアリングした日常生活能力を細かく医師に伝え、実態との乖離点について2点
修正をお願いしました。
すると、2点共に修正していただけ、「3級又は3級非該当」のレンジの中で、
真ん中あたりに移動しました。
また、病歴就労状況等申立書には、仕事のプレッシャー、パワハラで病んでいった
経緯、泣く泣く会社を辞めた経緯、治療が進み、就労しようと挑戦したがうまく
いかなかった経緯を細かく記載しました。
一般に、精神障害の場合、就労していたら(障害年金が)通りにくい、就労して
いなければ(障害年金が)通りやすい、と単純に言われることがあります。
しかし、同じ「就労していない」状況でも、いろいろな状況が考えられます。
就労しようと努力したがうまくいかなかった事実を具体的に詳しく書いたことで、
行政には、本当に就労できない状況がきちんと伝わり、診断書記載項目の修正と
合わせ、3級認定につながったように思います。

 


知的障害(中度精神遅滞):障害基礎年金2級(事後重症請求)が決定(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2017/03/01 重8

岐阜、名古屋周辺域にお住いの方の障害基礎年金2級(中度精神遅滞 事後重症
請求)が支給決定した実績です。
その方(男性)は、仮死状態で生まれ、知的障害がありました。
小中学校では特殊学級で、中学卒業後就職しましたが、解雇となり、40歳代と
なった現在は、短時間の軽作業で月3万円程度の報酬しかありませんでした。
高齢のご両親が老齢年金の一部より援助し、何とか最低限の生活をされていました。
読み書きが満足にできないため、原付免許もとれず、公共交通機関の利用もできず、
移動手段は専ら自転車でした。
食事、洗濯などの家事から郵便物・地域の回覧板などの読み書き、公共料金の契約
などすべてご両親が週2回訪問し、援助していました。
しかし、ご両親も高齢のため、経済的にも、家事等に関しても、今後長く援助する
ことは不可能であり、待ったなしの状況でした。

以前精神障害の方の障害年金請求代理のときに、一緒に仕事をさせていただいた
病院のケースワーカーさんから私に紹介がありました。
ご本人、ご両親、ケースワーカーさんと何度かヒアリングをさせていただきました。
出生から現在までの、養育歴、職歴、日常生活の状況など主にご両親に話を聞き、
小中学校時代の通知表もコピーさせていただき、20歳前障害として、障害年金の
請求をしました。
残念ながら、20歳の頃は受診歴が無く、遡及請求はできず、事後重症請求を行い
ました。

先日、ご両親から障害基礎年金2級(事後重症請求)の支給決定があったと連絡が
あり、非常に喜んでいただけました。
息子さんが40歳代になるまで、ご両親も障害年金制度のことをご存知ではなく、
病院のケースワーカーさんに聞いて、初めて知ったとのことでした。
また、ご両親は生活費の援助をするだけでなく、息子さんの国民年金保険料も
きちんと毎月納付していらっしゃいました。
息子さんが20歳の頃までに、ご両親に障害年金制度のことを教えてあげる人が
いなかったのであろうかと残念に思います。
20歳の頃、障害年金の請求をしていたら、現在までの20年以上障害基礎年金を
受給できた上に、国民年金保険料の納付免除(法定免除)も受けられたのです。
知的障害の場合、通常出生から一生続く障害であり、子供の時点で誰の目から見ても
成人後、稼得能力は低く、援助が必要になることは明らかです。
実は20年以上前、私の身近にも当時50歳代の知的障害を持つ方がいましたが、
私も社会保険労務士になる前で、障害年金制度のことを知らず、救ってあげることが
できませんでした。
私も社会保険労務士となり、障害年金の請求代理の仕事をさせていただいている以上、
そのような事態は無くしたいと思います。
今後、知的障害のお子さんをお持ちのご家族の方々、教育関係者に、様々な方法で
障害年金制度のことを周知していきたいと考えています。