2020年1月

傷病手当金の不支給決定を覆しました。

傷病手当金の不支給決定を覆した、岐阜・名古屋周辺域の方(女性)の実績です。
1.背景
その方(女性)はある脳血管疾患で車いすの生活をされていました。
障害年金受給に該当するため、社労士(私)に代理請求依頼があり、無事障害厚生年金1級の受給が決まりました。
脳血管疾患で倒れた以降、休職していましたが、会社の規定で、ある期間、ある程度の給与の支払いがありました。
しかし、(会社から案内が無かったのか?)健康保険法99条で規定される傷病手当金の手続きは全くされていませんでした。
障害年金の手続きが終わった後、それらの話を伺い、過去の傷病手当金は受給する権利があることを説明差し上げ、是非傷病手当金手続きをしてほしいと依頼があったため、障害年金に引き続き、お手伝いをさせていただくことにしました。
2.傷病手当金の手続き~不支給決定受領~不支給決定取消まで
傷病手当金の手続きをするために、1年半の期間について、傷病手当金請求書を作成し、主治医の意見も記載いただき、健康保険組合に送付しました。
しばらくして、意外なことに、不支給決定通知が送られてきました。
記載された不支給理由がおかしいため、健康保険組合に電話したところ、殆どクレーマー扱いされ、一方的に電話を切られてしまいました。
不服申し立て(審査請求)の準備を開始したところ、数日後その健康保険組合の職員から不支給理由は間違っていたと丁寧な謝罪があり、後日不支給決定取消の通知が送付されてきました。
1年半の期間での傷病手当金は、相当高額となり、毎日車椅子で不自由な暮らしを強いられているその方(女性)から大変感謝されました。
3.傷病手当金の調整
傷病手当金は、同時に障害年金を受給していたり、会社から給与が支払われていた場合、調整が入ります。
今回のケースを説明するにあたり、実際の金額、期間から変更を加えて、説明します。
障害年金が月15万円とします。
会社の規定で支払いのあった給与が月19万円であったとします。
また、傷病手当金は月30万円とします。
健康保険組合は当初、障害年金15万円+給与19万円=34万円が、傷病手当金月30万円よりも高い金額となるため、傷病手当金不支給という結論を出しました。
一見正しい結論に見えますが、実は謝りです。
健康保険法108条から、まず障害年金15万円と給与19万円のうち高い方が選択されます。
この場合、高い方は給与19万円となります。
傷病手当金月30万円と(高い方)月19万円との差額11万円が支給されます。
該当期間が10か月間であれば、11万円×10か月間=110万円が支給されることになります。
傷病手当金も細部は難しく、健康保険組合の職員でも過ちをおかすことがあります。
健康保険に関しても、何か疑問に感じることがありましたら、社会保険労務士にご相談いただきたいと思います。