2015年6月

障害年金不服申立て公開審理傍聴

先月(5月)、障害年金不服申立て公開審理の傍聴をしてきました。
場所は厚生労働省社会保険審査調整室です。

年金の裁定や受給権の消滅など、厚生労働大臣の行った処分に不服があるときは、
不服申立てができます。
障害年金についての不服申立ては二審制となっており、一審目が審査請求、ニ審目が
再審査請求です。
再審査請求は公開審理となっており、事前に申し込むことで、傍聴が可能です。
今回、最新動向収集のため、傍聴をしてきました。

当日は精神・肢体に関する審理であり、件数は43件でした。
その中で、7件については、全国各地の社会保険労務士が代理人として意見陳述を
していました。
5件については、ご家族等が代理人として意見陳述をしていました。
他は請求者欠席のまま、審理されました。
傍聴者には、詳しい資料の配布、申立て内容の詳細説明が無いため、概要しかわかり
ませんでしたが、意見陳述のあった案件については、争点をほぼ理解することが
できました。
裁定請求での不支給決定を不服、又は3級認定を不服とし2級を主張するケースが
多かったと思います。

不服申立てをすることになった要因としては、下記のもの(1~8)が多かったと
思います。

1.診断書の種類(精神、肢体、・・・)の選定ミス。
2.年金事務所の指導の不手際主張。
3.裁定請求に添付した診断書の「日常生活能力の判定」と実状との不整合。
4.症状が継続しているにもかかわらず、一過性症状と見られた。
5.一人暮らしでやむを得ず働いていたことにより、症状を軽く見られた。
6.裁定請求に添付した診断書で、複数の傷病を書くべきところを、一種類の
傷病しか記載されていなかった。
7.初診日が確認できないため、却下された。
(他の日を初診日としていれば、支給決定の可能性があった。)
8.相当因果関係の認識違い。

上記不服申立てをすることになった要因の1~8を見ると、裁定請求段階で防ぐ
ことができたものが多いと思います。
社会保険労務士にとっては、1~8は想定内のリスクであり、通常それらのリスク
回避を考慮の上、裁定請求まで進めています。

意見陳述では、涙ながらに請求人の日々のご苦労を訴えるご家族の方(代理人)が
おられました。
障害年金の裁定請求手続き自体は難しいことではありませんが、(残念ながら)
必ずしもいつも妥当な支給決定がされるわけではありません。
障害年金の裁定請求をしようと考えておられる方は是非、年金のプロである社会保険
労務士にご相談していただきたいと思います。