10月 24th, 2020

大動脈解離:医師に診断書作成を拒否された事例

2020/10/24 心疾患

1.病歴
その方(男性)は、3年前に急性大動脈解離を発症、大病院で人工血管の手術を行い、障害厚生年金3級を取得されました。
力仕事は休み休みでないとできない、また、排尿、排便障害など他の障害も併発し、日常生活、就労共にご苦労されていました。
更新時期を迎え、日本年金機構から更新用診断書が送付されました。
医師に更新用診断書作成をお願いしたところ、既に私は完璧な治療を施し、普通に生活できるので、診断書は書かない、と拒否されました。
事情を理解された病院のケースワーカーさんに、主治医に対して診断書作成をお願いしていただいたそうですが、態度は変わらなかったそうです。
お近くの年金事務所に相談し、「支給、不支給、等級変更は日本年金機構本部で決定します。お医者様には現状をありのままに書いてください、とお伝えください」と言われ、主治医に伝えましたが、頑なに書いてくれません。
やむをえず、他の病院で書いてくれないかあたりましたが、手術をした病院に書いてもらえばいいと言われ、断られたそうです。

2.無料相談~受任~障害厚生年金3級更新決定まで
八方塞がりとなり、インターネットで、急性大動脈解離の経験のある社労士を見つけ、私に相談がありました。
その時、既に更新用診断書提出時期を3ヶ月経過していました。
一刻も早く相談したいということで、弊事務所にすぐ来られました。
まず、私からも年金事務所に電話し、診断書提出が遅延している理由の説明、打開策は無いか相談をしました。
やはり、「支給、不支給、等級変更は日本年金機構本部で決定します。お医者様には現状をありのままに書いてください、とお伝えください」といった説明の繰り返しでした。
主治医に、その方の命を救っていただいたお礼と共に、診断書が何故必要なのかを丁寧に書き、診断書作成依頼文を作成し、送付しました。
何とかご理解いただき、診断書を作成していただけることになりました。
診断書ができあがったときには、更新用診断書提出時期を4ヶ月経過していました。
急ぎ、遅延理由書と共に、診断書を日本年金機構に送付しました。
送付の2か月後無事、障害厚生年金3級更新決定通知が届きました。

「日本年金機構 障害状態確認届の提出の注意点」

に、「障害状態確認届の提出が遅れたり、記載内容に不備がある場合は、年金の支払いが一時止まることがありますので、提出期限までに提出してください。」と記載があり、注意が必要です。
時々、今回のように、医師に診断書作成を拒否されたという相談を受けることがあります。
それぞれ事情、状況が異なるため一様な対策はありませんが、まずは粘り強く冷静に主治医に説明することが必要かと思います。