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うつ病で障害厚生年金3級(遡及)が決定

2015/10/06 うつ病

その方(男性)は、10年程前から3交代勤務をされており、仕事ぶりはまじめで
優秀な成績をおさめていらっしゃいました。
しかし3交代勤務で常に時差ボケ状態の上に、自分自身を含めご家族の病気が重なり、
ふさぎこむようになり、会社を休みがちになり、退職となりました。

私に依頼があったときは、社交的かつ礼儀正しい方で、なぜこの方がうつ病
なんだろう、という印象でした。
しかし話をうかがうと、吐き気、睡眠障害、など、見た目と異なり重い症状をお持ち
でした。
発病から現在までの状況をまとめていただいた上に、メールでの質問にも速やかに
ご回答いただき、スムーズに請求まで進めることができました。

障害認定時通院していた病院と、現在通院している病院の2か所に診断書作成依頼を
しました。
その方の最大の長所は、社交性です。障害認定時の病院の医師とも良好な人間関係を
築いていらっしゃいました。
医師との人間関係で診断書の内容が変わることはあってはならないことですが、
医師も人間です。
参考にしていただくためにお渡ししたヒアリング資料に近い内容の診断書を作成して
いただけました。
現在通院している病院の診断書も同様でした。
両医師に、実状をしっかりと反映した診断書を作成いただいたことで、
3級遡及請求が認められたと思います。


慢性腎不全で障害厚生年金2級が決定

慢性腎不全で障害厚生年金2級(事後重症)が決定しました。
その方(男性)は、会社の健康診断で尿異常が認められたものの、自覚症状がなく、
再検査を受けずにおられましたが、2年程後体調の変化があり病院を受診されました。
病状が徐々に悪化し、さらに数年後、人工透析を開始されました。
私に依頼があったときには、当時の健康診断の記録をしっかり保存しておられ、また
健康診断受診から現在までの経過をまとめていただいていたので、スムーズに請求まで
進めることができました。

一般的に、健康診断の記録を長期間保管する習慣は無いかもしれません。
障害年金の世界では、十年前の健康診断の記録1枚が支給/不支給を分けることも
珍しくはありません。
病院でもらう、診察券、お薬手帳、領収書、検査結果、医療費明細書、なども同様です。
普段からあまり負担の無いように整理、長期保管するように心がけたいものです。

社会保険労務士 久納


うつ病で障害基礎年金2級が決定

2015/08/04 うつ病

うつ病で障害基礎年金2級(事後重症)が決定しました。 その方(女性)は、10年以上前、家庭内の事情から生活の苦しい中、幼子2人を 抱え、睡眠を削りパートで稼ぎましたが、うつ症状(不安、不眠)が出始めました。 その後離婚、子供2人を引き取ったものの、生活費を稼ぐため、長時間のパート (パートの掛け持ち)を続け、うつ症状が悪化し、家事が全くできなくなりました。 その方は、重い記憶障害もあり、平成20年以降のことは殆ど覚えていませんでした。

私に依頼があり、ヒアリングを進めるものの、本人の記憶にあやふやなことが多く、 時系列に通院履歴、症状、日常生活状況、などをまとめることができず、当時は正直 お手上げ状態でした。 たまたま、その方と親しい間柄の御親戚の方が近所におられ、お手伝いいただき、 断片的な情報を時系列につなげることができました。 最後に、転院を続けた複数の病院を回り、各情報毎に正確な日時を割り付けることが でき、何とか、病歴・就労状況申立書を仕上げることができました。 多少時間がかかりましたが、細かい情報を丹念にひろい集め、正確な履歴情報と して行政にアピールできたことが、うつ病で障害基礎年金2級獲得の一助になったと 思います。

社会保険労務士 久納


障害年金不服申立て公開審理傍聴

先月(5月)、障害年金不服申立て公開審理の傍聴をしてきました。
場所は厚生労働省社会保険審査調整室です。

年金の裁定や受給権の消滅など、厚生労働大臣の行った処分に不服があるときは、
不服申立てができます。
障害年金についての不服申立ては二審制となっており、一審目が審査請求、ニ審目が
再審査請求です。
再審査請求は公開審理となっており、事前に申し込むことで、傍聴が可能です。
今回、最新動向収集のため、傍聴をしてきました。

当日は精神・肢体に関する審理であり、件数は43件でした。
その中で、7件については、全国各地の社会保険労務士が代理人として意見陳述を
していました。
5件については、ご家族等が代理人として意見陳述をしていました。
他は請求者欠席のまま、審理されました。
傍聴者には、詳しい資料の配布、申立て内容の詳細説明が無いため、概要しかわかり
ませんでしたが、意見陳述のあった案件については、争点をほぼ理解することが
できました。
裁定請求での不支給決定を不服、又は3級認定を不服とし2級を主張するケースが
多かったと思います。

不服申立てをすることになった要因としては、下記のもの(1~8)が多かったと
思います。

1.診断書の種類(精神、肢体、・・・)の選定ミス。
2.年金事務所の指導の不手際主張。
3.裁定請求に添付した診断書の「日常生活能力の判定」と実状との不整合。
4.症状が継続しているにもかかわらず、一過性症状と見られた。
5.一人暮らしでやむを得ず働いていたことにより、症状を軽く見られた。
6.裁定請求に添付した診断書で、複数の傷病を書くべきところを、一種類の
傷病しか記載されていなかった。
7.初診日が確認できないため、却下された。
(他の日を初診日としていれば、支給決定の可能性があった。)
8.相当因果関係の認識違い。

上記不服申立てをすることになった要因の1~8を見ると、裁定請求段階で防ぐ
ことができたものが多いと思います。
社会保険労務士にとっては、1~8は想定内のリスクであり、通常それらのリスク
回避を考慮の上、裁定請求まで進めています。

意見陳述では、涙ながらに請求人の日々のご苦労を訴えるご家族の方(代理人)が
おられました。
障害年金の裁定請求手続き自体は難しいことではありませんが、(残念ながら)
必ずしもいつも妥当な支給決定がされるわけではありません。
障害年金の裁定請求をしようと考えておられる方は是非、年金のプロである社会保険
労務士にご相談していただきたいと思います。


脳梗塞で障害基礎年金1級が決定

2015/05/27 肢体障害

脳梗塞で障害基礎年金1級が決定しました。
その方(女性)は脳梗塞で倒れる20年以上前から現在まで、ある特定疾患で通院して
おられました。
脳梗塞との相当因果関係は無いと思われましたが、念には念を入れ、診断書作成時は
誤解を招かないように主治医様に作成を依頼しました。
完成した診断書を見ると、1か所誤解を招くかもしれない箇所があったため、
「医学的に妥当な修正であれば修正お願いします」と依頼し、修正していただけました。
病歴・就労状況申立書も同様に、注意深く作成しました。
また、ご主人様より私に依頼があったときには、既に今迄の経過をまとめていただいて
いたので、非常にスムーズに請求まで進めることができました。


NHK放映「自閉症の君が教えてくれたこと」を見て

5月4日、NHKで偶然「自閉症の君が教えてくれたこと」(再放送)を見ました。
自閉症の東田直樹さん(現在23歳)が13歳の時に執筆した書籍「自閉症の僕が
跳びはねる理由」が、2013年自閉症の子をお持ちの米国の方により翻訳、
現在20か国以上で出版され、米・カナダのamazonでそれぞれ1位を獲得する
など各国でベストセラーとなっているとのことです。
日本国内のみならず、米国での講演で、多くの自閉症の子をお持ちの親御さんに感動を
与えたことが紹介されていました。

私は恥ずかしながら、東田直樹さんのことを存じ上げませんでした。
早速本屋に行きましたが、その本は売り切れのため、彼が22才の時に書いた本
「跳びはねる思考」を購入し、一気に読み終えました。

人の気持ちを理解できないのが、自閉症の方の特徴と思っていましたが、全く異なり、
人の気持ちを一般の健常者よりも理解する能力が高いことがよくわかりました。
理解できるにもかかわらず、いざ自分が表現しようとすると、奇声や跳びはねると
いった言動になってしまい、辛いとのことでした。
ただ、今迄本当に辛かったのは、健常者と同じようにできないことよりも、できない
辛さを「わかってもらえない」ことだということでした。
その辛さを唯一わかってくれたのは母親だったとのことでした。

現在、自閉症をはじめとして多くの精神障害の方、またその他の障害をお持ちの方
よりご依頼をいただき、障害年金獲得のお手伝いをさせていただいています。
御客様の本当の辛さを理解し、一人でも多く障害年金獲得が叶うように今後も努力
していく意を強く致しました。

社会保険労務士 久納


マイナンバー制度と障害年金

マイナンバー制度が2016年1月からスタートします。
そのためにまず、2015年10月には、全住民に番号(12桁)が記載された通知
カードが送付されます。
マイナンバー制度は、複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であると
いうことの確認を行うための基盤であり、社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、
国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤(インフラ)
である、とされています。

障害年金の請求を行うときには、さまざまな機関に対して、調査を行い、書類を
揃えなければなりません。
障害年金に関連する機関としては、医療機関、市町村、年金事務所、医療保険者
(健康保険組合等)、等があります。
1人の人間の情報を得るために、これら多くの機関から情報を得る必要があります。
これらの事務作業の煩雑さが、障害年金請求の敷居を高くしています。

今後、行政機関、地方公共団体に関しては、マイナンバーを基に情報連係が行われ
ます。
したがって、医療機関以外は、調査、書類を揃える手間がかなり軽減されます。

また、マイナンバー制度は、2016年のスタート時点では、利用範囲は社会保障、
税、災害対策分野のみとされています。
しかし、2019年を目途に、民間を含む利用範囲の拡大を検討するとされています。
将来、マイナンバーによる情報連係が、民間の医療機関にまで拡大されることで、
障害年金請求の手続きがさらに容易になることが期待されます。

マイナンバー制度は便利になる反面、個人情報の漏えい、不正利用、などの懸念が
あります。
障害年金請求代行等を行う社会保険労務士は、「社会保険労務士法」という法律で、
個人情報保護に関して非常に厳しく規定されています。
また、社会保険労務士は所属する都道府県社会保険労務士会において、ほぼ毎月
研修会に参加しています。
研修会では、頻繁に行われる労働社会保険諸法令の法改正の正確な把握、等と共に
社会保険労務士が労働社会保険諸法令の専門家として、国民の生活を支え、信頼を
高め、社会的信用を築き、会員の一人一人が国民の期待に応える存在となることを
目的とした倫理研修も行われます。

障害年金に関してお困りの方は是非安心して我々社会保険労務士にご相談ください。


制度間の矛盾

障害年金請求の難しい要因のひとつに、制度間の矛盾があります。

障害年金の請求時、初診日の証明が必須となります。
初診日の証明が必要な理由は、
1.請求先制度の確定(国民年金、厚生年金、共済年金)
2.保険料納付要件を満たすかどうかの判定
3.過去に遡って請求(遡及請求)できるかの判定
の、3点に必要な情報だからです。

緩やかに進行した病気の場合、初診日を証明するのが大変な場合が多いです。
若い頃発症し、当初は軽度であった、又は障害年金の制度を知らなかった、
などで、30年程度経過して、初めて障害年金を請求するケースがあります。
そのような場合、30年前の初診証明を病院にしてもらう必要がありますが、
既に診療録(カルテ)が廃棄されており、証明できないと断られる場合が
あります。
医師法では、診療録(カルテ)の保存義務は5年となっているためです。
障害年金の制度と医師法の制度の間の矛盾が、このようなケースの請求手続きを
難しくしています。

診療録(カルテ)が廃棄されている場合は、一般に証明を得るためにかなり
大変な調査、手続きが必要になります。


伝言ゲーム

障害年金請求の難しい要因のひとつに、書類審査であることがあります。

請求書類の中で最も重要な書類は、医師が作成する診断書です。
しかし、医師は障害者の日常生活を自分の目で見ているわけではありません。
請求者が、現時点の日常生活活動能力及び労働能力を医師に伝え、医師が診断書に
記載し、その書類を行政が見て、障害の認定を行います。

請求者本人が医師と信頼関係が構築されていない場合、請求者本人の実情が正確に
医師に伝わりません。
また、(一般には)障害年金に詳しくない医師が診断書を書く場合、記載欄に
書くべき的確な表現となっていないことが少なくありません。

かくして、現時点の日常生活活動能力及び労働能力は、請求者本人⇒医師⇒行政
とあたかも伝言ゲームのように歪んで伝わります。
そのように書かれた書類を見て、行政は障害認定の判断を行います。
行政は、日常生活にいくら辛い状況があったとしても、記載された以上の事を読み
取ることはできません。

実際は同程度の障害であっても、認定に差が生じてしまうのは、以上のようなことが
要因のひとつになっています。


グレーゾーン

障害(基礎・厚生)年金の請求は難しいと言われています。
また、障害基礎年金に於いては、都道府県によって支給/不支給の認定に差があると
言われています。

障害年金請求の難しい要因のひとつに、老齢年金、遺族年金には存在しない、
「グレーゾーン」の存在があります。
障害認定に当っての基本的事項として、障害等級毎に次のように定められています。

1級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を
弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。
2級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が
著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする
程度のものとする。
3級:労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要と
する程度のものとする。

障害年金は、上記のような労働能力や生活能力の低下具合に応じて、生活の安定が
損なわれることがないように支給される素晴らしい制度です。

反面、上記のような抽象的な表現から、労働能力や生活能力の低下具合の明確な線引き
をするのは困難であり、「グレーゾーン」が存在してしまうことになります。
(具体的な認定基準は、基本的事項をベースに詳細に定められていますが、やはり
完全な線引きは困難です。)

したがって、「グレーゾーン」の中にいる場合には、請求書類に労働能力や生活能力の
低下状況をいかに盛り込むかによって、同程度の障害であっても認定に差が生じること
になります。


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