発達障害

広汎性発達障害:障害基礎年金2級遡及決定事例

2020/09/12 発達障害

1.病歴
その方(女性)は高校卒業後就職しましたが、人間関係のストレスがたまり、職を転々としました。
結婚し子供もでき、当時は家事も一通りできていました。
しかし、夫が会社をクビになり、酒を飲み、妻子に暴力をふるうようになり、夫の暴力及び経済的な不安からリストカットをし、自ら警察を呼ぶことを繰り返すようになり、警察からも家族に苦情があったとのことです。
警察に説得され病院に行き、頑なに入院を拒否しましたが、医療保護入院となりました。
退院後、デイケアにも参加するようになりましたが、他者と関わることはなく、1人で過ごすことが多かったようです。
その後、B型作業所に週1日就労しましたが、他の利用者とのコミュニケーションは全くなく、常にマイペースで、週2日以上の就労は拒否していました。
最近2年間はリストカットは無くなりましたが、逆に家事は全くできなくなりました。
意思伝達は自分の子供としかとれず、日常生活の食事、清潔保持(着替え、掃除)、買物・金銭管理、銀行・役所での手続き、などは、義父母にすべてしてもらっていました。

2.無料相談~受任~障害基礎年金2級受給決定まで
最初、義父母が障害年金申請の代行をしてくれる社労士を探しており、私に相談がありました。
ご自宅に伺い、義父母から細かい情報を聞いて進めることになりました。
別居していた義父母は老齢年金生活のため余裕のある生活もできませんでしたが、経済面、実作業面共に、家事、育児全般において息子家族の援助をされており、義父母のためにも、何とか障害年金受給に結び付けたい思いでした。
初診日は、ご主人は当時無職であり、3号被保険者ではなかったため、保険料納付要件が厳しいと感じていましたが、義父母がしっかり保険料納付もされており、問題ありませんでした。
本人とも会話しましたが、聞いたことに対して、「はい、いいえ」程度の回答しかなく、あまり具体的な情報は得られません。
デイケアのご担当の精神保健福祉士様、B型作業所の職員様から普段の様子をヒアリングし、対人交流能力の低さ、清潔保持能力の低さなどの情報を多く得ることができ、病歴・就労状況等申立書に反映しました。
初診から3年程、継続的に通院していたため、傷病名:広汎性発達障害で遡及申請を行った結果、障害基礎年金遡及2級が認められました。
子供の加算額もありました。
本人は受給決定に対してもあまり感情表現がありませんでしたが、家族の日常生活の大部分を管理、援助している義父母は、遡及申請が認められたことで、過去2年程の遡及分の年金の入金があったこと、2ヶ月ごとに定期的な入金があることで、経済的に非常に楽になったと、大変喜んでいただけました。


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