2018年5月

うつ病:医師が診断書を書いてくれないケース(全国対応の実績)

2018/05/26 うつ病

 うつ病で障害厚生年金2級(遡及請求)が支給決定した遠方の方の実績です。
1.病歴
その方(女性)は、15年程前、小さな会社に勤務する責任感の強い方でした。
仕事中に突然涙が出たり、他人が自分に話しかけているのに、遠くで別人に話しているように感じるようになり、心療内科を受診し、休職を指示されましたが、社内に自分の代わりをする人がいないため、無理して仕事を続けたのがよくありませんでした。
そのため、ホームで電車に飛び込みたくなったり、朝起きれなくなり、重度うつ病と診断され、会社は退職となりました。
その後、軽快、悪化を繰り返し、自殺未遂も何度かありました。
離婚し、何の楽しみも無くなり、買い物依存となり、借金を抱えてしまいました。
2.無料相談~受任~障害厚生年金2級支給決定まで
障害年金に該当するかどうか無料相談をしたいとのことで、遠方よりお電話いただきました。
声が震えており、かなり重いうつ病であることは明らかでしたので、障害厚生年金2級は間違いないと考え、裁定請求のお手伝いをすることにしました。
初診日から1年半後の障害認定日の診断書、現在の診断書をそれぞれの病院で作成いただき、うつ病で障害厚生年金の裁定請求を行い、後日障害厚生年金2級(遡及)が認められました。
障害厚生年金2級の5年分の年金(相当の金額)が最初に振り込まれ、借金も完済し、貯金も残り、大変喜ばれました。
3.診断書作成を断られる
初診から1年半後、通院していた病院に問い合わせたところ、カルテは残っているが、当時の担当医師はその病院にいないため、診断書を書けない、今は別のところにいらっしゃる担当医師に書いてもらってくれと無茶を言われました。
その医師の所在はわかったものの、重いご病気で、とても診断書を書ける体力はありません。
そのことをお話しし、当時の日常生活能力を詳しくヒアリングした情報を提供し、何とか診断書を書いていただけることになりました。
妥当な診断書を書いていただけるか、正直不安がありましたが、しっかりと当時の実態を表した診断書ができあがってきましたので、助かりました。
それで遡及請求できたので、本当に九死に一生を得た思いです。
今回のように、医師が診断書を書かないと言われることがときどきあります。
(どうしてもだめな場合もありますが、)諦める前に我々社会保険労務士に無料相談していただきたいと思います。

てんかん・器質性精神障害・同名半盲:てんかんの診断書の難しさ(全国対応の実績)

 てんかん・器質性精神障害・同名半盲で障害厚生年金2級(額改定請求)が決定した遠方の方の実績です。
1.病歴
その方(男性)は技術的に高度な知識を要する優秀な営業マンでしたが、脳出血で倒れ、てんかん・器質性精神障害(高次脳機能障害)・同名半盲を発症、次のような症状が現れました。
・てんかん発作がいつ起きるかわからないため、一人で外出できない。
・器質性精神障害のため、複数の方と会話ができない、物事の順番の整理ができない。
・同名半盲のため、右側半分の視野が欠けている。
2年程前に、自ら障害年金裁定請求をしましたが、3級と認定されました。
2.無料相談~受任~障害厚生年金2級額改定決定まで
ひとつでも3級に相当すると思われる障害が3つあるにもかかわらず、3級とは納得できないと考え、障害年金に詳しい専門家に無料相談をしたいとのことで、遠方よりお電話いただきました。
まず、以前の裁定請求書類コピー一式を見せていただきました。
てんかん治療病院と器質性精神障害治療病院が異なり、診断書はてんかん、器質性精神障害、同名半盲の3枚あり、多くの問題があることがわかりましたが、それらの問題をクリアすれば、2級は可能と考え、額改定請求のお手伝いをすることにしました。
なぜ、3級と認定されたのか、詳しく探る必要があるため、厚生労働省に認定表の開示請求を行いました。
取り寄せた認定表から次の事が判明しました。
まず、同名半盲は障害手当金相当9号とされ、次に、精神(てんかん・器質性精神障害)は3級7号とされました。
9号と7号の併合により、7号→3級(変わらず)とされました。
てんかん・器質性精神障害が併せて3級というのはありえないと考え、それぞれの診断書の問題点を洗い出し、各医師には診断書作成時にいろいろな対応をお願いしました。
3つの診断書ができあがり、額改定請求の手続きを行い、後日無事障害厚生年金2級が認められました。
配偶者、子の加算もあり、年金額は3倍以上となりました。
小さいお子さん方がいらっしゃって、経済的にご苦労されており、大変感謝されました。
3.てんかんの障害年金請求の難しさ
前回の裁定請求書一式を拝見すると、いろいろな問題点がありました。
1)てんかん治療病院と器質性精神障害治療病院が異なり、それぞれの診断書に日常生活の判定・程度の記入がされていた。
てんかんのみ、器質性精神障害のみを見て、日常生活の判定・程度を評価するというのは難しいと考えられる。
また、日本年金機構がその二者の日常生活の判定・程度を併せて総合的に正確に評価するのはさらに難しいと考えられる。(おそらく不可能)
2)てんかんのみ、器質性精神障害のみを見て、日常生活の判定・程度を評価したと考えても、実態より軽く書かれていた。
特に、てんかんの診断書の日常生活の判定・程度は今回の方に限らず、一般に軽く記載される傾向がある。
(てんかん発作時<<以外>>の日常生活の判定・程度を記載されることが多く、「てんかん」という病気の診断書で、てんかん発作時を除いて日常生活能力を評価することに大きな疑問を感じる。)
3)てんかんの診断書はてんかん発作のタイプ、頻度の記載が重要であり、その記載はあったものの、具体的な発生日までは記載が無く、説得力に欠けていた。
1)に関しては、てんかんの診断書には、日常生活の判定・程度の記載はしないでいただきました。
器質性精神障害治療の医師に、てんかん、器質性精神障害両者を含めた日常生活の不便さの情報を提供し、日常生活の判定・程度を総合的に評価していただき、その旨明記していただきました。
2)に関しては、実態にあっていない項目は、医師に根拠を示し、修正を依頼し、ある程度応じていただけました。
3)に関しては、あらかじめご本人に最近1年間の発作時期を洗い出していただき、全発作時期をてんかんの診断書に記載いただき、日本年金機構に対して強くアピールしました。
てんかんの障害年金請求は簡単ではありません。
この方の最初の裁定請求のように、医師に診断書を作成依頼し、できあがった診断書をそのまま提出して、妥当な等級が認められることは少ないと思います。
てんかんに関しては、是非障害年金を専門とする社会保険労務士に無料相談していただきたいと思います。
4.精神の障害に係る等級判定のガイドライン
その方は私のホームページのブログを読んでくださっており、「私の事例をブログに掲載いただき、他の障害者の方々の救済にお役立てください」と仰っていただき、感激しました。
上記のように、てんかんの日常生活能力は、他の精神障害と比較すると、精神の診断書にうまく反映されず、低く評価されがちです。
平成28年9月1日、「精神の障害に係る等級判定のガイドライン」が運用開始され、精神疾患に関して、医師による評価のばらつきが少なくなるようになりましたが、「てんかん」は対象外とされました。
今後、「てんかん」に関しても何らかのガイドラインが作られるべきと考えます。