10月 24th, 2017

後縦靭帯骨化症(難病):障害基礎年金1級が決定(全国対応の実績)

胸椎後縦靭帯骨化症(難病)で障害基礎年金1級(事後重症)が支給決定した
遠方の方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)

その方(女性)は、背中、腰に負担のかかる肉体労働のパートをしていました。
従業員が1人減り、一人あたりの仕事量が増加し、さらに体に負担がかかるように
なりました。
上司には、何度も対策を要望しましたが、目だった対応はありませんでした。
床の段差を下りた時に、足の力が抜ける事があり、徐々に頻繁に起きるように
なりました。
病院を受診したところ、胸椎後縦靭帯骨化症と診断され、難病指定されました。
黄色靭帯骨化症も併発していました。
その後、歩けなくなりました。
後縦靱帯骨化症とは、背骨の中の後縦靭帯の一部が骨化した結果、脊柱管が狭くなり、
神経根が押されて感覚障害や運動障害等の神経症状を引き起こす病気であり、
指定難病の一つです。
胸椎5~胸椎12まで16本のチタンボルトで固定する手術 (胸椎後方固定術)を
受けました。
現在、10メートル位迄両杖でゆっくり歩けますが、外出は車椅子を使用して
いました。

最初、遠方であったため、ご本人より電話でご相談がありました。
その時は、元気で明るい印象でした。
詳しく話を聞くと、障害年金でなく、労災の申請をしてもらえないかということ
でした。
職場では、会社に何度も対策を要望したにもかかわらず、殆ど聞いてもらえず、
障害を負ってしまったので、労災にならないと悔しいと仰っていました。
その方の地元の労働基準監督署に電話で相談したところ否定的な答えでした。
医師が明確に、業務と障害との因果関係を説明できないと認められないとのこと
でした。
私の地元の労働基準監督署にも出向き相談しましたが、同様でした。
職場での突発的な事故で脊髄を損傷したということであれば、認められるが、
原因がよくわからない難病で認められることはまずないでしょうという回答
でした。
そこで、労災については、諦め、障害年金を目指すことになりました。

次に、初診日を決めるのにかなり時間がかかりました。
その方は、障害年金は初診日が大事であり、それを間違えると支給されないことも
ありうるということもよくご存知でした。
初診日の頃、貧血、他の病気による痛み、肩こり、腰痛などでいろいろな
クリニックを受診しており、一体いつのどこが初診になるのかわからない、
あーでもない、こーでもないとメールのやりとりが続きました。
いろいろなクリニックに問い合わせましたが、すっきりとした結論は出ません。
結局、現在通院している病院の主治医に、経過を説明し、どれが相当因果関係の
ある傷病かを相談し、見解を聞き、初診証明をとりました。

その後、現在通院している病院で診断書を作成していただくにあたり、現在の症状
をまとめるためのヒアリングをしましたが、これも一筋縄にいきませんでした。
肢体障害の場合、診断書の「日常生活における動作の障害の程度」が重要です。
その方は、「片足で立つ」、「深くおじぎをする」、「歩く(屋内)」、
「歩く(屋外)」、「階段を上る」、「階段を下りる」、「ズボンの着脱」、
「靴下を履く」、「用便の処置をする」の項目を特に細かくヒアリングしました。
その方は、内心自分が障害者だと認めたくない気持ちをお持ちだったようです。
当初は、ある程度自力で歩くことができる、階段も何とか登れるようなことを
仰っていました。
そのため、障害年金2級も厳しいかもしれないというのが最初の印象でした。
しかし、聞けば聞くほど実際はかなり重症だということがわかってきました。
両杖無しでは全く歩けない、玄関を出たところに小さな段差があり、それさえ、
両杖があっても下りることはできず、家族の支えが必要とのことでした。
階段の昇り降りなどはもっての他です。
命がけでやれば階段も3段くらい登れると言うのですが、命がけで階段を3段
登れても「登れる」といわない。それは紛れもなく、「登れない」という
のですよと説明しました。
さらに、恥ずかしさと自分がみじめになるのが嫌で、隠していらっしゃったこと
もありました。
診断書に「用便の処置をする」という評価項目がありますが、上半身を折り曲げ
たり、ねじったりができず、用便の処置も自分でできない程酷い状況でした。
風呂でも、頭や下半身は自分で洗えないということでした。
それらの隠していたこともすべてさらけ出していただき、日常生活能力を
まとめて、医師に診断書作成依頼をしました。
その結果、ほぼ実態にあった診断書ができてきましたが、一部実態と異なる点は
妥協せず指摘し、修正していただきました。

最後に、住民票、戸籍謄本などを取得してくださいとお願いしました。
今迄苦労を重ねた初診証明、診断書と違い、単純な事務作業であり、すぐ対応
していただけると軽く考えていました。
しかし、ここでまたつまずきました。
お子さんの進学のため、その入学手続き、準備を身体の不自由なその方が全部
ひとりでこなしていました。
1か月経過しても一向に書類が整わないため、お電話したところ、自分の障害
年金よりも子供の進学を優先してやっているが、この不自由な身体でやるのは
もう心身共に疲れ果て、死にたいと思うこともあると、今までとは別人のように
元気のない声で仰いました。
精神的にまいってしまっておられたので、ゆっくり進めてくださいと、
急かさないようにしました。
(とはいうものの、診断書の有効期限があることはお伝えしました。)

このように、最初電話でご相談いただいてから、6か月もかかってしまい
ましたが、傷病名:胸椎後縦靭帯骨化症での裁定請求手続きを無事終える事が
できました。
しかし、6か月間だらだらと進めていたわけではなく、労災の検討から始まり、
紆余曲折があり、時に強い口調でたしなめ、時になぐさめ、やるべきことは
やりつくし、双方納得のいく充実した6か月でした。

先日、お電話があり、傷病名:胸椎後縦靭帯骨化症で障害基礎年金1級
(子の加算あり)の年金証書が届いたと喜びの連絡がありました。
思っていたよりも高額な年金をもらえることになり、うれしくて、何度も
感謝の気持ちをお示しいただきました。
当初、障害基礎年金2級もどうかわからないと思われました。
自尊心を傷つけてしまったところはあったかもしれませんが、プライド、
恥ずかしさは捨てていただき、正しい日常生活能力を明らかにされ、
その通りの診断書ができあがり、障害基礎年金1級受給に結び付きました。

すべての書類がそろい、ようやく裁定請求の準備が整ったときに、いただいた
メールの一文が心に残りましたので、紹介させていただきます。
「海外で商売をする夢もあったんですが、あきらめました。もし 障害年金が
決まれば また夢を見つけて生きる希望も見つけられるような気がします。」
その方は、もともとファイトのある方です。次の夢はきっと見つけられる
でしょう。
今回の障害年金受給がその一助になれば、それに勝る喜びはありません。